東京写真月間2025
ハガ タカシ写真展「ヘテロタイプ」
アジアの写真家たちモンゴル2025
タミル・サングスレン写真展

概要
「ヘテロタイプ」ハガ タカシ
僕たちは他人から与えられたカテゴリーを捨て、自分自身の意思でここに在りたい。
オリンピックの開催が決まり、ちょっとしたお祭り気分がそこかしこに溢れていた頃。ふとしたきっかけで知り合った彼は、少し芝居がかったところのある、だが魅力的な青年だった。
自身を強く押し出していく性格のせいだろうか、周囲は彼を持て余し気味であるように見えたが、僕にはあまり気にならなかった。すぐに気の合った僕らは、なにかと理由を付けては連むようになる。
そうして過ごすある日、普段と変わらない些細な会話の中で、彼は唐突に「ヘテロタイプ(異性愛者)」と僕を呼んだ。聞いたことはあるが耳慣れない言葉、その時はそう感じた。
カテゴライズされること。幼稚園では緑組、小学校ではクラスと出席番号、それと星座に血液型占い。自分自身の意思とは関係なしに振り分けられた経験はその程度であると思う。
その後は所属する業界や会社組織など、全て自分の選択で決めてきたことだ。もちろん、男女でスペースは分けられていたけれども、それについては意識自体をしたことがない。
ある頃から、自分はマイノリティであると声を上げる人たちが一気に増えたように感じていた。それはきっとインターネットやSNSの普及など、個人の声を発信できるインフラが整ってきたということなのだろうけど、僕はそうではなく「進化した新しい人間が現れはじめた」と、漠然とではあるがそんなふうに捉えていた。
ヘテロタイプと呼ばれたことで足元がおぼつかなくなる。自分が何者であるか曖昧になってしまった。彼らはニュータイプでドアを開ける人たち、自分は旧型の人間、そうなのだろうか。
自問を繰り返す。彼が僕を「ヘテロタイプ」と呼んだのは僕が結婚をしているという理由からではないのか。つまり判断の理由は過去だ。
彼と出会った東京は、少しずつ、だけど確実に変わっていく。先月、待ち合わせをしたあの場所はもう無い。だけど二人で街に出れば、そこには「なにかしら」があるような気がしていた。
本展示は撮影者と一人の青年の関わりの記録から、人が人をカテゴライズすることや、多様性を主題として構成された長期取材作品となります。(カラー30点)
タミル・サングスレン写真展
学生時代から旅行や山でのハイキングを通じて、自然の美しさを写真に収めることに強い興味を持ちフィルムカメラを使って撮影を行ってきた。2021年以降、専門的な撮影技術の知識を深めるとともに、自然の独特な構図や色合いを捉える楽しさに魅了され野生動物や日常の貴重な瞬間を写真で表現し、それを多くの人々と共有したいと考えている。
開催期間
2025年5月28日(水)~6月29日(日)※月曜定休
営業時間:11:00~19:00
会場
LUMIX BASE TOKYO
入場料
無料